今日の民法

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2024.10.09

第1047条【遺留分侵害額請求 受遺者又は受贈者の負担額について】
遺産や贈与に関わる法的な規定は複雑ですが、相続に関連する人々にとって非常に重要です。特に「遺留分侵害額」請求がされた場合に、受遺者(遺贈を受けた人)や受贈者(贈与を受けた人)がどのような負担を負うのか、について解説していきます。

1. 受遺者と受贈者の違い

  • 受遺者遺言によって特定の財産(不動産や金銭など)を譲り受ける人を指します。例えば、故人が「自宅をAさんに遺贈する」と遺言を残した場合、Aさんが受遺者です。
  • 受贈者:生前贈与などで財産を譲り受けた人です。例えば、故人が生前にBさんに土地を贈与した場合、Bさんが受贈者です。

2. 遺留分とは?

遺留分」は、相続人に最低限保障されている相続財産の割合のことです。故人が自由に全財産を遺贈や贈与できるわけではなく、一定の範囲内で相続人が請求できる権利があります。この権利を侵害された場合、相続人は「遺留分侵害額請求」をすることができます。

3. 遺留分侵害額の負担

遺留分を侵害している場合、受遺者や受贈者は、その侵害額を負担する義務があります。つまり、遺留分を侵害された相続人が請求すると、受遺者や受贈者はその請求に応じて、一定の額を支払う必要があるのです。

  • 遺贈または贈与された財産の価額を限度として負担
    受遺者や受贈者が負担する金額は、彼らが遺贈や贈与された財産の価値までに限られます。相続人が受け取るべき遺留分が侵害されたとしても、受遺者や受贈者がそれ以上の負担を強いられることはありません。

4. 相続人である場合の特例

受遺者や受贈者が相続人である場合、少し特別な計算が行われます。具体的には、彼らが受け取る遺留分の額を控除した後の金額が負担額となります。これは、相続人である彼らが遺留分の請求者でもある可能性があるため、過剰な負担を防ぐための配慮です。

5. 負担の優先順位

受遺者と受贈者が両方いる場合、受遺者が先に負担します。つまり、まず遺贈を受けた人が優先して遺留分侵害額を負担し、不足があれば贈与を受けた人がその後に負担することになります。

具体例での説明

例1:受遺者が先に負担する場合
Aさんが遺言で「自宅をBさんに遺贈する」としたが、その結果、相続人Cさんの遺留分が侵害されていたとします。この場合、Cさんは遺留分侵害額をBさんに請求でき、Bさんはその自宅の価値を限度に支払う義務を負います。

例2:受遺者と受贈者がいる場合
Aさんが生前にDさんに土地を贈与し、遺言でEさんに現金を遺贈しました。しかし、その結果、相続人Fさんの遺留分が侵害されていました。この場合、まずEさん(受遺者)がその遺留分侵害額を負担し、Eさんの負担だけでは足りない場合はDさん(受贈者)が負担することになります。

まとめ

  • 受遺者や受贈者は、遺留分を侵害した場合、遺贈や贈与の価額を限度にその侵害額を負担する義務があります。
  • 受遺者が先に負担し、残りの部分を受贈者が負担します。
  • 相続人である場合、彼らの遺留分を控除した後の金額が負担額になります。

この条文は、遺言や贈与が行われた後に相続人が不利益を被らないようにするための重要なルールです。適切に理解しておくことで、相続トラブルを未然に防ぐことができます。

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