今日の民法

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2024.11.04

第1002条【負担付遺贈】① 負担付遺贈を受けた者は、遺贈の目的の価額を超えない限度においてのみ、負担した義務を履行する責任を負う。② 受遺者が遺贈の放棄をしたときは、負担の利益を受けるべき者は、自ら受遺者となることができる。ただし、遺言者がその遺言に別段の意思を表示したときは、その意思に従う。

負担付遺贈における受遺者の放棄と次の受遺者

負担付遺贈では、受遺者が負担を伴う遺贈を放棄した場合、その遺贈が無効となり、負担の利益を受けるべき者(例:毎年支払われる金銭を受け取る者)に自ら遺贈の受遺者となる権利が発生します。

これは、「負担がなければ利益を享受できない」という性質から来ています。遺贈の放棄により負担と利益がともに失われることを防ぐため、利益を受ける予定であった者に、受遺者として遺贈を引き継ぐ機会を与えるという考え方です。

事例

たとえば、「AさんがBさんに財産を遺贈し、BさんはCさんに毎年一定の金額を支払う」という内容の負担付遺贈があるとします。この場合:

  1. Bさんが遺贈を放棄した場合、その財産もCさんへの支払い義務もなくなります。
  2. この場合、Cさんは新たに受遺者となる権利を持ち、遺贈内容を受けることが可能です。
  3. Cさんが新たな受遺者となれば、Cさんはその財産を得る一方で、自己の利益として設定された負担の利益を失わないことができます。

法的根拠と意義

負担付遺贈において受遺者が放棄を行う場合のこの取り扱いは、民法第1007条に規定されています。これにより、負担の利益を受ける予定であった者が損失を被らずに済み、遺言者の意図に従って遺産が利用されることになります。


まとめ

負担付遺贈の放棄に際して、負担の利益を受けるべき者が新たな受遺者として遺贈を引き継ぐことができるという制度は、負担と利益のバランスを保ち、遺言の意図を尊重するための取り決めです。

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