今日の民法

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2024.11.16

第1016条【遺言執行者の復任権】

① 遺言執行者は、自己の責任で第三者にその任務を行わせることができる。ただし、遺言者がその遺言に別段の意思を表示したときは、その意思に従う。

② 前項本文の場合において、第三者に任務を行わせることについてやむを得ない事由があるときは、遺言執行者は、相続人に対してその選任及び監督についての責任のみを負う。


1. 遺言執行者と復任権とは?

遺言執行者は、亡くなった方(遺言者)の遺言内容を実現するために選任される人のことです。遺言執行者は、遺言の内容に基づいて財産の分配や手続きを進める役割を担います。

復任権とは、遺言執行者が、自分の役割の一部または全部を第三者に引き継いで任せることができる権利を指します。例えば、遺言執行者が自身で実行できない任務について、その業務を他の専門家に委任できる場合があるのです。


2. 第1016条の条文内容について

第1016条の条文は、次の2つの部分に分けられます。

① 遺言執行者は第三者に業務を任せることができる

1項では、遺言執行者が自分の責任において、第三者に任務を任せる(復任する)ことができるとしています。
ただし、遺言者が「第三者に任せてはならない」という別の意向を遺言で示している場合は、その意向を優先します。

② やむを得ない事情がある場合の例外措置

2項では、1項で第三者に任務を任せた場合に、遺言執行者が負う責任について説明しています。やむを得ない事情がある場合、遺言執行者は相続人に対して第三者の「選任と監督」に関する責任のみを負うとされています。

例えば、遺言執行者が高齢や病気などで任務を続行できない場合、第三者に任せたとしても、その監督を行う責任があり、全ての任務に対する責任を負わないことが認められます。


3. 2023年の法改正により追加されたポイント

2023年の法改正では、特に遺言執行者が高齢化しているケースなどを考慮し、遺言執行者が任務を第三者に任せる場合に関する条文が明確化されました。この改正により、次のポイントが明示されました。

  • 復任の責任の範囲が明確にされた
    • 遺言執行者がやむを得ない理由で第三者に任務を委任する場合、その選任と監督についての責任に限定されるように改められました。
  • 遺言執行者の高齢化への配慮
    • 遺言執行者の年齢が高くなることを考慮し、業務の委任に関する責任を限定し、相続人が負担を受けないようにする内容が含まれています。

4. 具体的な例でわかりやすく解説

たとえば、Aさんが遺言執行者に指名されたとします。しかし、Aさんが高齢で、体力的に遺言の手続きすべてを進めるのが難しいと感じた場合、Aさんはその一部の業務(例えば不動産の処分など)を専門家のBさんに任せることができます。

このとき、AさんはBさんを選ぶ責任と、Bさんが適切に業務を遂行しているかを監督する責任だけを負い、全体の手続きに対する責任を全て負うわけではありません。これにより、高齢や健康上の理由で任務が難しい遺言執行者も安心して役割を果たすことができるようになりました。


まとめ

第1016条の規定は、遺言執行者が業務の一部を第三者に委任できること、そしてその際の責任の範囲について明確化された内容です。2023年の法改正によって、遺言執行者の負担が軽減され、相続人も適切な管理のもとで遺言が実行されやすくなっています。

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