今日の民法

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2024.12.15

第1016条【遺言執行者の復任権】

① 遺言執行者は、自己の責任で第三者にその任務を行わせることができる。ただし、遺言者がその遺言に別段の意思を表示したときは、その意思に従う。

② 前項本文の場合において、第三者に任務を行わせることについてやむを得ない事由があるときは、遺言執行者は、相続人に対してその選任及び監督についての責任のみを負う。

.遺言執行者とは?

まず、「遺言執行者」というのは、遺言書に書かれている内容を実現するために手続きを進める人です。
例えば、

  • 相続財産を分ける手続き
  • 借金の返済
  • 財産を特定の人に渡す

などを行います。

遺言書に書かれていることを実現するため、遺言執行者には大きな責任が伴います。


法改正後の状況

遺言執行者の復任権は、2019年(令和元年)7月1日の民法改正により、原則として認められるようになりました:この日以降に作成された遺言とそうでない遺言で復任権の規定が異なる点に注意が必要です

① 復任権の明確化

遺言執行者は、自己の責任のもとで第三者に任務を任せることができると明記されました。これにより、遺言執行者は手続きの一部を他の専門家(弁護士、司法書士など)に依頼しやすくなり、業務をスムーズに進められるようになりました。

② 遺言者の意思が最優先

遺言書に「第三者に任せてはならない」という意思が記されている場合は、その意思が優先される点も明確になりました。これにより、遺言者の意向を守りつつ、必要な時には第三者に業務を任せる柔軟性を持たせることができます。

③ やむを得ない場合の責任限定

「やむを得ない事情」で第三者に任せる場合、遺言執行者は第三者を選び、監督する責任だけを負うことが規定されました。これにより、遺言執行者が第三者のミスによって全面的な責任を問われることが減り、業務が適切であれば責任が限定されることが保証されました。


3. 違いのまとめ

法改正後

  • 復任権が明文化され、遺言執行者が第三者に任務を委託できることが明確になった。
  • 遺言者の意向に従うルールが明確化され、法的な運用が一貫性を持つようになった。
  • やむを得ない場合では責任の範囲が「選任と監督」に限定され第三者を活用しやすくなりました。

このように、改正後の法律では遺言執行者の負担を軽減しつつ、遺言者の意思を尊重しながら合理的に業務を進められる仕組みが整備されました。

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