後見人を辞任することは可能?

後見人を辞任することは可能?

2024.11.06

今日は一旦就任した後見人を辞任したいとのご相談を受けたケースをもとに、後見人の責任や辞任の手続きについてお伝えいたします。


1. 成年後見人の役割と責任

成年後見人は、判断能力が不十分な方(被後見人)の財産管理や生活支援を行います。後見人には、被後見人の権利と利益を守る責任があり、財産管理や医療契約のサポートなど、多岐にわたる役割を担います。

主な役割と責任

  • 財産管理:被後見人の預金や不動産などの財産を適切に管理します。
  • 生活支援:日常生活で必要な契約や支払いを代理で行います。
  • 報告義務:家庭裁判所に対し、定期的に状況の報告を行う責任があります。

成年後見人は、被後見人の利益を第一に考え、適正な管理を行う責務を負います。


2. 成年後見人を辞任できるケース

成年後見人を辞任することは可能ですが、家庭裁判所の許可が必要です。後見人の辞任が認められるケースとして、以下のような事情が考えられます。

辞任が認められるケース

  • 健康上の理由:病気や高齢によって後見人としての業務が難しくなった場合。
  • 経済的負担:後見人業務にかかる時間や費用が、経済的に負担になる場合。
  • 被後見人との関係悪化:被後見人やその親族との関係が悪化し、業務が難しいと判断される場合。
  • その他のやむを得ない事情:転居や職務上の理由で、後見業務の継続が困難な場合。

家庭裁判所は、やむを得ない事情があると認めた場合に限り、辞任を許可します。


3. 辞任の手続きと流れ

成年後見人が辞任するには、家庭裁判所への申立てが必要です。辞任の手続きは以下の流れで進みます。

辞任手続きの流れ

  1. 家庭裁判所に辞任申立書を提出:辞任理由を具体的に記載し、申立書と必要書類を家庭裁判所に提出します。
  2. 家庭裁判所による審査:家庭裁判所は辞任理由の妥当性を審査します。
  3. 辞任の許可:家庭裁判所が辞任を許可した場合、正式に後見人の職務を退くことができます。

必要な書類

  • 辞任申立書:辞任の理由を明記した書類
  • 診断書や証明書(必要に応じて):健康状態やその他の理由を証明する書類があると、辞任が認められやすくなります。

裁判所が辞任を許可するまで、後見人の職務は続きます。許可が下りる前に勝手に業務を辞めると法的責任が生じる可能性があるため注意が必要です。


4. 辞任後の後見人の選任

成年後見人が辞任すると、家庭裁判所が新しい後見人を選任します。後見人の役割は被後見人の生活や財産の支援に欠かせないため、辞任した後も、適切な後見人が選ばれることが重要です。

次の後見人の選任について

  • 新たな後見人は、被後見人の親族や司法書士、弁護士などの専門家が選ばれることが多いです。
  • 家庭裁判所は、被後見人の利益を守るため、信頼性の高い人物を選任します。

【まとめ】

成年後見人を辞任する場合には、家庭裁判所への申立てと辞任の許可が必要です。健康や経済的理由などやむを得ないと認められる事情がある場合は、早めに家庭裁判所に相談しましょう。

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