遺言書の検認
遺言書の検認とは?
遺言書の検認とは、相続が発生した際に、遺言書が適正に保管されていたかを家庭裁判所が確認する手続きのことです。遺言書の内容が有効かどうかを確認するのではなく、偽造や改ざんを防ぐために行われます。この手続きは、自筆証書遺言や秘密証書遺言が対象であり、公正証書遺言には必要ありません。
検認手続きが必要な理由
遺言書が発見された場合、そのまま相続手続きを進めることはできません。検認を経ていない遺言書は、たとえ内容が正当であったとしても、相続手続きに使用することができない場合があります。検認を行うことで、遺言書の存在と内容が公式に確認され、相続手続きの前提としての有効性が担保されます。
遺言書の検認手続きの流れ
1. 遺言書の発見
遺言書の保管者や遺言書を発見した相続人は、開封せず、速やかに家庭裁判所に提出しなければなりません。
2. 家庭裁判所への申立て
遺言書が自筆証書遺言や秘密証書遺言の場合、遺言書を保管している者や相続人が、遺言者の最後の住所地を管轄する家庭裁判所に検認の申立てを行います。
3. 検認の日程調整
家庭裁判所は、検認のための日程を決定し、相続人全員に通知を送ります。相続人全員が立ち会うことが推奨されますが、立ち会わない場合でも検認手続きは進行します。
4. 検認の実施
検認当日、家庭裁判所で遺言書の内容確認と形式的なチェックが行われます。この際、遺言書が開封され、相続人全員に内容が開示されます。検認手続きが完了すると、検認済証明書が発行されます。
5. 遺言書の効力
検認を経た遺言書は、その後、相続手続きに使用できます。しかし、検認手続きは遺言書の有効性を確認するものではないため、内容に問題がある場合は別途争いが生じることもあります。
円滑な相続手続きを行うために
検認が不要な遺言書の作成
遺言書の検認手続きは時間と手間がかかるため、公正証書遺言の作成を検討することも一つの方法です。公正証書遺言は、公証人が作成するため、検認手続きが不要となり、相続手続きがスムーズに進められます。
司法書士や弁護士への相談
検認手続きや遺言書の作成について不安がある場合は、専門家に相談することをお勧めします。専門家のアドバイスを受けることで、トラブルを未然に防ぎ、相続手続きを円滑に進めることができます。