ご相談解決事例

古い抵当権がそのままになっている場合

2024.10.09

今回は、曾祖父の不動産についてのご相談がありました。相続手続きがされておらず、不動産調査をすすめたところ、110年前に設定された抵当権が残っており、相談者の方も心当たりがないとのことでした。

このような古い抵当権は「休眠担保権」と呼ばれます。金融機関での融資や相続手続きを進める際に、過去に設定されたままの担保権が登記簿に残っていることがあり、明治時代や昭和初期のものも見つかることがあります。不動産の登記簿を日常的に確認する機会は少ないため、こうした事実に気づかないことも多いのです。

通常、抵当権抹消登記は、担保権者(抵当権を持つ者)と不動産所有者が共同で申請します。しかし、古い抵当権では、次のような問題が発生します。

  • 抵当権者の所在が不明
  • 抵当権者が亡くなっていて相続人も不明

こうした状況では、抵当権抹消の手続きが複雑になることがあります。しかし、抵当権が残ったままでは、不動産の売却や新たなローンを組むことができないため、相続手続きと併せて抵当権の抹消も行うことが必要です。


解決方法

今回のケースでは、「弁済供託」を用いて休眠担保権の抹消手続きを進めました。弁済供託による抹消手続きは、以下の条件を満たす場合に進めることができます(不動産登記法第70条第3項に基づく)。

  1. 担保権者が行方不明であること
  2. 被担保債権の弁済期から20年が経過していること
  3. 債権の元本・利息・遅延損害金の全額を供託すること

これらの条件を満たした場合、不動産所有者が単独で抵当権抹消手続きを行うことが可能です。


抹消手続きの進行

条件を満たした場合、以下の書類を用意して抵当権抹消登記を申請します。

  • 供託書正本
  • 行方不明証明書(内容証明郵便の返送封筒)
  • 弁済期の証明書類(閉鎖謄本)
  • 委任状(代理人が申請する場合)

供託後、これらの書類を基に不動産所有者が単独で抵当権抹消登記を行います。


注意点

休眠担保権の抹消手続きは、通常の手続きとは異なり、事前の準備が重要です。また、今回のケースでは抵当権者が行方不明の個人でしたが、法人が抵当権者の場合や、他の書類が不足している場合は、別の対応が必要となることもあります。そのため、手続きを進める際は、専門家に相談することをお勧めします。

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