今日の民法

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2024.10.14

第1028条【配偶者居住権】

① 被相続人の配偶者(以下この章において単に「配偶者」という。)は、被相続人の財産に属した建物に相続開始の時に居住していた場合において、次の各号のいずれかに該当するときは、その居住していた建物(以下この節において「居住建物」という。)の全部について無償で使用及び収益をする権利(以下この章において「配偶者居住権」という。)を取得する。ただし、被相続人が相続開始の時に居住建物を配偶者以外の者と共有していた場合にあっては、この限りでない。

一 遺産の分割によって配偶者居住権を取得するものとされたとき。

二 配偶者居住権が遺贈の目的とされたとき。


2020年の民法改正により、「配偶者居住権」という新しい制度が導入されました。これは、被相続人が亡くなった後、残された配偶者が安心して住み続けるための権利です。このブログでは、第1028条1項の、配偶者居住権について解説します。

配偶者居住権とは?

配偶者居住権とは、被相続人(亡くなった方)が所有していた家に配偶者が引き続き住むことができる権利です。この権利を取得すれば、家の所有者でなくても、無償で住み続けることが可能になります。高齢の配偶者が生活を安定させるために重要な役割を果たす権利です。

配偶者居住権が認められる条件

配偶者居住権を取得するためには、次の条件のいずれかを満たす必要があります。

  1. 遺産分割で配偶者居住権を取得する場合 相続人同士の話し合いや裁判所の調停で遺産を分割する際に、「配偶者居住権」を認めることが決まった場合です。相続人間で「配偶者がこの家に住み続ける」という合意があれば、その家に無償で住む権利を得ることができます。
  2. 遺贈として配偶者居住権が指定されている場合 被相続人が遺言書を残している場合、その遺言書で「配偶者が居住建物に住み続けることができる」と指定されていれば、配偶者居住権が認められます。遺言書による遺贈(遺産を特定の人に与えること)で、配偶者居住権を指定することができるのです。

ただし、もし被相続人が他の人と家を共有していた場合、その家に対して配偶者居住権は認められない点に注意が必要です。夫名義の自宅に居住中で夫に前妻の子供がいる場合や、子供との折り合いがかなり悪く遺産分割に際しては、家を売却するしか遺産分割の方法が無いかもしれないとご不安な方は、是非一度ご相談ください。

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