調停で遺産分割を解決したケース紹介 ~遺産分割の話し合いがまとまらないときの調停の流れ~
調停で遺産分割を解決したケース紹介 ~遺産分割の話し合いがまとまらないときの調停の流れ~
今日は以前ご相談いただいた方で、遺産分割を進めるにあたって、相続人同士の話し合いがスムーズにいかず、調停で解決した方のケースをご紹介します。このケースを通じて、調停の流れがどのように進むかについてイメージができればと思います。
ケース紹介:相続人間で意見が対立
Aさんの叔母が亡くなり、Aさんと他の相続人(兄弟)が遺産を分割することになりました。主な相続財産は、叔母の名義の自宅と預貯金でしたが、相続人同士の話し合いで意見が対立し、まとまらなくなりました。
- Aさんの希望:叔母が生前に「自宅は甥であるAに譲りたい」と言っていたことを理由に、自宅を相続し、他の相続人に預貯金の大半を分割することを提案しました。
- 他の相続人の希望:自宅は売却して、預貯金と合わせて公平に分割するべきだという意見でした。
遺産分割の話し合いが長引く中で、感情的な対立が深まり合意が難しくなったため、Aさんは家庭裁判所に遺産分割調停を申し立てることにしました。
調停の流れ
調停の流れは、以下のステップで進んでいきました。
1. 調停の申し立て
Aさんは、申立人として相続が発生した叔母の最後の住所地を管轄する家庭裁判所に、調停の申し立てを行うことになります。
- 必要書類:被相続人の戸籍謄本、相続人全員の戸籍謄本、相続財産の目録など。
2. 調停期日の決定と通知
申立て後、家庭裁判所から調停期日が通知されました。裁判所が指定する日程に従い、相続人全員が調停に出席することになります。調停は通常、平日の昼間に行われますが、日程調整は柔軟に行われました。
3. 調停期日での話し合い
調停期日には、調停委員(法律や相続に詳しい専門家)等が立ち会い、話し合いが始まりました。調停委員は双方の主張を整理し、冷静な話し合いが進むようサポートします。
- 調停委員の役割:相続人それぞれの意見を聞き、公平な立場からアドバイスや解決策を提示します。
- 別々に話を聞くことも:Aさんと他の相続人は別々の部屋に呼ばれて、それぞれ個別に話を聞かれる場面もありました。これは、感情的な対立を避け、冷静に主張を整理するためです。
4. 調停委員の助言と解決策の提案
話し合いの中で、調停委員は「自宅はAさんが相続し、預貯金を他の相続人が受け取る」というAさんの提案をベースに解決策を探りつつも、他の相続人の不満や懸念点も考慮しました。最終的に、次のような解決策を提案しました。
- Aさんが叔母の自宅を相続する代わりに、自宅の評価額に基づいた相当額を他の相続人に支払う。
- 預貯金については、公平に分割する。
5. 調停成立
調停委員の提案を受けて、Aさんと他の相続人が合意に達しました。調停の合意内容は、「調停調書」として記録され、これには裁判の判決と同様の法的効力があります。調停調書に基づいて、遺産分割が正式に行われました。
どうしても相続人間で遺産分割がまとまらない時には、調停の申し立てを行うことも解決手段の一つです。関与する相続問題が長期間にわたって解決できないままの方や、調停をすべきかどうかについてお悩みの方は、一度無料相談にてご相談ください。
広島司法書士会 (登録番号:第613号)
広島県行政書士会 (登録番号:第05340722号)
広島県土地家屋調査士会 (登録番号:第1573号)
JMAA M&Aアドバイザー認定
セミナーズマーケティング認定講師
NLPプラクティショナー、マスタープラクティショナー、コーチコース認定
現在 法務総合事務所文殊パートナーズ代表