第920条【単純承認の効力】とは?

第920条【単純承認の効力】とは?

2024.10.30

相続が発生したとき、相続人は被相続人(亡くなった方)の財産や権利を引き継ぐことになります。しかし、財産だけでなく、借金や負債も引き継ぐ可能性があることをご存じでしょうか?そこで知っておきたいのが「単純承認」の仕組みです。今回は、民法第920条【単純承認の効力】をわかりやすく解説します。


単純承認とは?

単純承認とは、相続人が被相続人の財産や権利、義務をすべて無条件で引き継ぐことです。
つまり、プラスの財産(現金や不動産など)だけでなく、マイナスの財産(借金や負債)も全て引き継ぐということです。

民法第920条の内容

民法第920条では、次のように定められています。

相続人は、単純承認をしたときは、無限に被相続人の権利義務を承継する。

この条文の意味を簡単に言うと、単純承認を選ぶと、被相続人の財産も負債もすべて相続することになるということです。


単純承認を選ばない場合の対策

負債があるかどうか分からない場合や、借金の相続を避けたい場合には、他の相続方法を選ぶことが可能です。

① 限定承認

限定承認は、相続財産の範囲内でのみ負債を相続する方法です。相続財産を上回る負債を引き継ぐ必要がないため、マイナスの財産が心配な場合には有効な選択肢です。ただし手続きや条件が複雑なため選択しないケースがほとんどです。

② 相続放棄

相続放棄は、相続人が相続そのものを放棄する方法です。これを選ぶと、財産も負債もすべて引き継がず、相続から完全に除外されます。特に、被相続人が多額の負債を抱えている場合は、相続放棄が有効な対策です。


単純承認を選ぶときの注意点

単純承認には次のような注意点があります。

① 自動的に単純承認とみなされる場合がある

単純承認を選ばなくても、相続人が次のような行動をとった場合、自動的に単純承認とみなされることがあります。

  • 相続財産の一部を処分した場合(たとえば、相続した現金を使ったり、不動産を売却した場合)
  • 相続の開始から3か月以内に相続放棄や限定承認をしなかった場合

ポイント: 3か月以内に手続きをしないと、単純承認とみなされ、負債も含めて相続することになります。

② 借金の調査を早めに行う

単純承認を選ぶ前に、被相続人の財産や負債の状況を正確に把握することが重要です。銀行や金融機関に問い合わせ、故人が抱えていた借金やローンがないか、早めに確認しましょう。

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