親族に知らせずに遺言書作成

親族に知らせずに遺言書作成

2024.11.13

遺言書作成を検討される理由として「家族に心配をかけたくない」「今後のことを考えて自分の意思をしっかり残しておきたい」と思っている方もいらっしゃるでしょう。今回は親族に知らせずに遺言書を作成したいとご相談のあったケースについてお伝えします。


遺言書を秘密にする理由

遺言書を秘密にする理由としては、次のようなものがあります。

  • 家族の争いを避ける:遺産分配のことで家族間に軋轢が生じる可能性を減らすため。
  • 心配をかけたくない:生前に家族へ余計な心配や不安をかけないため。
  • 自分の意思を確実に反映したい:本人の意向が尊重される形で遺言を残すため。

1. 法的効力のある遺言書を作成する

まず、法的に有効な遺言書を作成することが大切です。遺言書が無効とされた場合、せっかくの意思が反映されず、遺産分割は法定相続分に基づいて行われます。遺言書の種類には次の3つがあり、それぞれの特長を把握しておきましょう。

  • 自筆証書遺言
     → 自分で書く遺言書。家庭裁判所の検認が必要で、2020年からは法務局での保管制度も利用できます。
  • 公正証書遺言
     → 公証役場で公証人に作成してもらう遺言書。確実な形で遺言が残せ、検認も不要です。
  • 秘密証書遺言
     → 内容を秘密にしておきたい場合に有効。公証人が内容に目を通さずに遺言書の存在のみ確認します。

2. 作成した遺言書の保管方法

遺言書をどこに保管するかも重要なポイントです。遺言書を親族に知らせずに作成する場合、本人の死後に見つからなければ遺言書を作成した意味がなくなってしまいます。特に親族に知られずに作成を検討される場合には保管場所については配慮が必要です。

  • 自宅で保管する
    → 自宅の金庫や鍵付きの引き出しに保管しますが、紛失や廃棄されるリスクがあるため注意が必要です。
  • 信頼できる第三者へ預ける
    → 専門家や遺言執行者に預けることも選択肢です。保管料がかかる場合がありますが、安全性が高く、確実に発見されやすい方法です。
  • 法務局に保管する(自筆証書遺言の場合)
    → 法務局での保管制度を利用すると、安全に保管できるだけでなく、万が一の紛失リスクもありません。

3. 相続人間のトラブルを防ぐための工夫

親族に遺言書を知らせずに準備する場合、相続人間のトラブルを防ぐための配慮も重要です。以下の点に注意しましょう。

  • 遺産の分け方を明確に記載する
    → 曖昧な表現は避け、具体的に誰に何をどれだけ分けるのか記載します。これにより、誤解や争いを避けやすくなります。
  • 付言事項を活用する
    → 遺言書の中に、相続人へのメッセージや遺産分割の理由を伝える「付言事項」を書き加えると良いです。感謝の気持ちや思いが伝わり、トラブルを軽減する可能性があります。

4. 専門家に相談することも検討する

専門家に相談するのも有効です。遺言書の内容や作成手続きに不安がある場合、専門家のアドバイスを受けることで、確実な形で自分の意思を残せます。特に公正証書遺言の場合、公証人も専門家として関わるため、相談しながら進めると安心です。


まとめ

親族に知らせずに遺言書を作成する場合は、法的効力を意識しながら適切な形式で作成し、安全な保管方法を選ぶことが大切です。また、遺産分配の内容を明確にし、必要に応じて専門家に相談すると、トラブル回避につながります。

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