相続お役立ち情報

相続トラブル防止のために遺言書を活用

2023.04.14

遺言を残すことは、死後に自分の希望を伝えるだけでなく、残される遺族がスムーズに円満に相続手続きを進めるための助けにもなります。

遺言書がない相続の場合、相続人は遺産分割協議(話し合い)によって遺産を誰がどのように受け取るのかを決めます。
不動産が遺産のほとんどを占める場合や、相続人が多い場合、相続人の関係が良好ではない場合は特に遺産の配分をめぐってトラブルになりやすいと言えます。また、それまでは友好な関係だった親族が、相続をきっかけに関係が悪くなってしまうことも珍しいことではありません。

遺言を活用することで、大切な遺族をそのような苦労をかけさせない、円満な相続手続きに導くことができます。

ここでは、相続トラブルの例を元に、遺言を残すことによってどのようにトラブルを避けられるかをご説明いたします。

1.不動産が遺産の大部分を占める場合

相続財産:広島市内の不動産(約2000万円)・預貯金約1000万円
相続人:被相続人の子供3人(長男・次男・長女)

相続人が子供だけの相続では、単純に遺産を人数で均等配分するというのが法定相続分になります。 この場合、広島市内の不動産と預貯金の合計が3000万円ですので、法定相続分は一人1000万円となります。

しかし、2000万円は不動産ですので、そのままでは均等に分けることができません。 法定相続分で均等に遺産を分けるには、以下の方法があります。

  1. 自宅を売却し金銭に変えてから分ける
  2. 1人が不動産を相続し、他の2人に500万円ずつ渡す

1の方法では実家を売却しなければなりません。例えば、被相続人と一緒に次男が実家に住んでいたとしたら、次男はそれまで住んでいた家を失ってしまうことになります。
2の方法では、不動産を相続した1人が他の2人に支払う1000万円ものお金を用意しなければならないので、負担が大きくなります。

【遺言によってトラブルを防ぐ】

遺言で1人が不動産を相続し、預貯金を残りの2人で分けるという旨を残すと、相続がスムーズに運ぶでしょう。 不動産を相続するのは、そこに一緒に住んでいる相続人がいれば、その人物が望ましいといえます。

2.配偶者と両親が相続人の場合

相続財産:広島市内の不動産、預貯金
相続人:被相続人の妻、被相続人の両親

被相続人が結婚しているが子どもがおらず、両親が健在という相続の場合、相続人は配偶者と、被相続人の両親ということになります。 遺言書がない場合はこの3人で遺産分割協議を行うことになります。

義両親との話し合いをしなければならない妻には精神的な負担がかかります。義両親と疎遠であったり、関係が良くなかった場合は余計に重く感じられることでしょう。

【遺言によってトラブルを防ぐ】

遺言に「妻に遺産を全て渡す」等と残しておくと、配偶者の負担が軽減されるだけでなく、相続自体もスムーズに運ぶでしょう。
義両親との関係が悪い場合、遺留分の請求も考慮に入れて「両親に●●円、残りを妻に」等と残すのも良いでしょう。

※遺留分は、相続人が相続財産を得るのに最低限守られた範囲です。遺留分を侵されている相続人が主張しなければ効力はありませんが、遺留分を主張されると遺言といえども遺留分を退けることはできません。 遺留分については、「遺留分について」で詳しくご説明しております。

遺留分について

3.内縁の妻がいる場合

内縁の妻がいる場合、内縁の配偶者には相続権がないためにトラブルになりやすいです。普通の夫婦と同様に生活をしていて財産を共同で積み立てたとしても、その財産は「法定相続人」(先の例では、夫の子どもたち)のものになってしまいます。そこで、法定相続人が権利を主張すると、内縁の配偶者の住む場所すらなくなるおそれがあります。

このような死後の内縁の配偶者が受ける不利益を避けるためには、やはり「遺言」が大切です。遺言によって、内縁の配偶者に不動産や預貯金などの財産を分与することを定めておけば、内縁の配偶者は住み場所を失うこともありませんし、お金に困ることもないのです。

相続 遺言 相続放棄
初回相談120分無料

まずは、お気軽にご相談ください。