調停、審判での相続財産の名義変更
相続人間で遺産分割協議により話し合いがまとまらない場合、広島家庭裁判所等に調停や審判を申し立てることにより解決を図る方法があります。ここでは、調停や審判にて遺産分割方法が決まった財産をどのように名義変更を行うかお伝えさせていただきます。
調停による相続財産の名義変更
家庭裁判所の遺産分割調停は、共同相続人や包括受遺者等が申立てることによって手続きが開始になります。遺産分割協議は相続人全員の話し合いによりまとめることが前提ですが、時に相続人間のトラブルにより遺産分割が決まらない場合があります。遺産分割調停では、公平な立場である家庭裁判所の調停委員会が相続人それぞれから言い分を聞き、調整を促したり、解決策を提案することにより円満な解決を目指す手続きとなります。この調停を経て、遺産分割が決まった場合には、その内容を裁判所の書記官が「調書」に記載します。この調停調書を利用し、名義変更手続きを進めていきます。
審判による相続財産の名義変更
相続手続きで調停前置主義は採用されていないのですが、多くのケースでは遺産分割調停が不成立の場合に遺産分割審判が行われています。各相続人らの主張や証拠を元に、相続人や相続財産を確定し、法律を基準として裁判所がどのように遺産分割を行うか決めるのが審判です。審判の内容を記載したものを審判書といいます。審判では法定相続分で分けることが一般的です。
この審判書は強制力を持ちますので、納得のいかない相続人がいたとしても、必然的に審判書の内容に従うことになります。この審判書の謄本を提出することにより、不動産等の名義変更が可能になります。
このように、審判が確定すれば審判書謄本、調停が合意されれば調停調書謄本が家庭裁判所から発行されます。審判書謄本、調停調書謄本があれば、例えば相続分通りに審判、調停が決まれば、相続人は自分の相続分に関しては自分の戸籍謄本及び印鑑証明書、預金通帳、届出印、そして審判書謄本(調停調書)だけで相続分の預金を受け取ることが可能になります。
通常の相続手続きでは相続人全員の印鑑証明書、相続人全員の戸籍謄本、被相続人の戸籍謄本(除籍謄本)、遺産分割協議書(実印)なども必要となりますので、審判や調停ではかなり必要書類が減ることになります。なお、審判、調停で被相続人の死亡は確認されていますので被相続人の戸籍謄本(除籍謄本)は必要なくなります。
また不動産の相続登記においても、審判書謄本や調停調書謄本に被相続人の死亡日や住所が記載されていると、被相続人の住民票、戸籍謄本(除籍謄本)の添付が不要となります。また遺産分割審判で単独で不動産を相続する旨が決まった相続人は、審判書謄本を添付して単独で相続登記をすることができます。
広島相続遺言まちかど相談室では相続手続きの各種名義変更に関しても、ご対応いたします。まずは無料相談をご利用いただき、広島近郊にお住まいの方の、今お悩みいただいていることをお話しください。