遺言書作成時の財産調査
遺言に記載のない相続財産があった場合、相続人はその財産について遺産分割協議をしなければならなくなります。
遺言の内容と相続財産に相違があると、相続人や遺族が困ってしまうだけでなく、それが原因で紛争になってしまう可能性もあります。
これでは、遺族のためを思って残した遺言が逆効果になってしまいます。
そのようなことにならないよう、遺言作成ではまず財産調査を行うことをお勧めいたします。財産調査とは、大きく分けると「不動産評価の確認」「財産の種類と総額の確認」「税金対策の確認」「生命保険金の受取人は誰になっているかの確認」を指します。
不動産評価の確認
- 土地建物に価値があるのか、収益物件となるのか、相続人にとっても価値があるか
- 売却は可能なのか、又、売却しやすいように対策がしてあるか
- 抵当権、定期借地権、底地権など権利関係のある土地ではないか
- 農地・生産緑地など、相続人にとって扱いづらい土地ではないか
財産の種類と総額の確認
- 金融機関ごとの残高の確認
- 株式や金融資産の評価はいくらなのか
- 財産の総額の確認
税金対策の確認
- 相続税対策と、納税資金対策はできているのか
- 土地を生前に売却しやすくしておくなど、税金を考えた生前対策が出来ているか
- 固定資産税を考慮した上での分割の割合となっているか
生命保険金の受取人は誰になっているかの確認
- 受取人によっては相続財産になりますので要注意
- 相続税を課せられる対象にもなる
- 相続財産と、みなし相続財産のバランスを確認する必要がある
遺言書の作成する際、ご自身の財産を把握していない状態で作成すると、後々相続が発生し、遺言を執行する際にトラブルになってしまいます。
その為、財産調査は遺言の目的を実現するうえで、とても重要な過程となります。遺言には、様々で非常に重要な役割がありますので、作成する前にしっかりと財産調査を行い、より効果的に活用いただくことをお勧め致します。