信託財産とは
信託財産とは、委託者が信託契約で受託者に預けた財産のことをいいます。信託できる財産は財産的価値のあるものであれば、制度上は信託の対象になります。
例えば、以下のようなものが挙げられます。
- 金融資産(現金、預貯金、株式など)
- 不動産(土地・建物など)
- 動産(自動車や宝飾品など)
- その他、債権など
信託財産は誰のもの?
信託でまず理解していただきたいのは、「信託された財産の所有者は形式上と実質で異なる」ということです。委託者が財産を信託した場合、形式上の所有権は受託者に移ります。そのため株式であれば、株主名簿を書き換えなければなりません。
不動産であれば、所有権の移転登記を行うため、受託者はその権限で賃貸契約や管理契約を結んだり、売却したりすることが可能となります(所有権移転登記に要する登録免許税はかかりません。不動産取得税も非課税。課税されるのは信託登記の登録免許税0.4%のみ)。
もちろん、委託者が「勝手に売却されては困る」と考える場合は、受託者の権限に制限を設けることができます。信託契約に定めておくことで、受託者にできることをあらかじめ規定しておけるのです。
このように、形式的な所有権が受託者にあるのに対し、実質的な所有権は信託された財産から利益を得る受益者にあります。
では具体的に賃貸用不動産の信託を例に整理してみましょう。
登記簿上の所有者となり、管理するのは受託者なので、入居者が支払う賃料はまず受託者の口座に振り込まれます。ただしそのお金は受益者のものなので、受託者が勝手に使うことはできません。一定の信託報酬をとる契約になっている場合には、その報酬を差し引いた残りを受益者の口座に振り込むことになるのです。
預金を信託する場合の注意点
預貯金を信託する場合には、金融機関の協力が必要となります。信託契約以降、預貯金の管理は受託者が行うことになりますが、現金で保管をすることはせず、金融機関で管理することが通常です。では、誰の預金口座で管理することになるのか、ということが問題になるわけですが、受託者は従前から使用していた個人名義の預金口座を使用することはできません。個人資産との分別管理が必要だからです。そこで必要となるのが「委託者A受託者B」名義など、信託財産である旨が一目でわかる信託口座が必要となります。
どこの金融機関でも信託口座を作ってくれるのかというと、現状そうでもありません。家族信託自体が比較的新しい制度ですので、まだ体制が整っていない金融機関も存在します。家族信託を検討する場合には、信託口座の開設について、管理をしてきたい金融機関に事前に確認をしておくと良いでしょう。
広島相続遺言まちかど相談室では、家族信託(民事信託)の専門家としてお客様をサポートさせて頂きます。場合によっては税理士や弁護士と提携し、家族信託に限らずお客様のご事情にあわせた最善の方法を検討してまいります。まずはお気軽に広島相続遺言まちかど相談室へご相談ください。